地方の古い家で、ぼぼ未使用のまま残されたイランのカラム・カーリで、テヘランで50年前頃に入手した人から頂いたと聞きました。厚手の綿布に、握れるサイズの木型に単位の基本図柄を彫り、例えば、木型に青の染料を付け布に図柄青を捺染し、重なりに注意し繰り返し布全体に広げ、次に、赤の染料を同じ紋様の別木型に着け赤を捺染し、色ごとに繰り返し仕上げます。本品は、青、赤、黄など5色を用いています。 　木型は、基本図柄を手早く確実に繰り返せるサイズで、本品では端の小さな赤い花から次の同じ花まで、縦で約20㌢、横で約16㌢です。中央の大きな長方形で基本図柄を繰り返し、外側では青・赤三角形による小さな長方形の2つは、イランの干しレンガ壁の土台を描き、間の立壁には黄の蔓と緑の葉を山形（波形）に描き、壁外の幅広ボーダーには、青の蔓で繋がる大きな花と小さな斑点付き花が山形に連続し、布全体はペルシャ庭園を示します。 カラム・カーリには、特徴的な花モチーフ10程が本品同様に良く使用されます。中央の長方形では、勾玉状のボテー（花の意、ペイズリー）が青い蔓（茎）に沿い全体に広がり、蔓から青い愕付きで大小様々な花が咲き誇ります。蔓に咲く黄と赤の2色の花には、細い花弁が上向きで3重や2重に広がる花（重なる花弁からバラと推定、共感のシンボル、以下同様）、大きな青の愕からラッパ状に広がり、頂に青い蕾の花（チューリップ、殉教）、小さく細い6花弁が青い愕から伸びる花（ジャスミン？、純潔）、細長3色花弁の羽子板の羽風花（サフラン、活力）も描かれます。赤1色で尖った花弁10枚の花は、イランで代表的なザクロの花（多産）を多分指します(11枚め）。 　干しレンガ立壁の、黄の弦と緑の葉は、緑の茂みとなるハーブのマジョラム、広幅ボーダーでギザギザ上向き7花弁の中に4つの蕾、黄と黒茶の小さな冠の花は、尖った7花弁からナデシコ（純潔）か、蕾のあるロータス（ハス、開明）と推測され、3色斑点の小さな花（丁子の実と花？）が山形に続きます。 　本品モチーフの花名は確定できませんが、50年を経たヴィンテージ布の花モチーフとその意味を探ることで、ベッド・カバーでの使用と同時に、ペルシャ庭園が身近になります。なお、本品端は長すぎ、折返があり、洗濯時には色落ち防止を御了解下さい。 サイズ：縦約245㌢（13㌢は折返含む）横約150㌢